金融業界のデジタルマーケティング入門「金融マーケナビ」

その他

いまさら聞けない?特定電子メール法の概要と宣伝広告の注意点

2020年9月2日 2,245 Views

事業者の広告宣伝メールは自由に誰にでも送信して良いというわけではありません。特定電子メール法などの迷惑メールから消費者を守る法律が日本では定められています。広告宣伝活動をする際には、違反によって厳しい罰則を受けないよう関連する法律の概要を把握しておくことが大事です。そこで今回は、特定電子メール法の規制内容や注意点についてお話していきます。

特定電子メール法とは?広告宣伝メールを規制する法律

特定電子メール法とは特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のことです。これによって広告宣伝メールは送信方法の規制が行われている他、特定事項の表示が義務づけられているのです。

それでは、なぜこの法律が施行されることになったのか、その背景には携帯電話からのインターネット接続が普及するにつれ大きな課題になっていた「迷惑メール問題」があります。受信者が希望しないのに不要な広告宣伝メールが送りつけられる、詐欺目的の架空請求メールがくるなどの問題が多発したため、対策として特定電子メール法が施行されました。

そして、特定電子メール法は平成14年4月に成立、7月から施行された後も度々法改正が行われ、よりいっそう迷惑メール対策は強化されています。改正点としては広告宣伝メールの解釈範囲の拡大や架空メールアドレスへの送信規制、「オプトイン方式」が導入されたことなどが挙げられます。

その中でも平成20年の法改正で導入された「オプトイン方式」は特に注意しておきたいところです。「オプトイン方式」とは原則、事前に同意を得た者に対してのみ広告宣伝メールの送信が認められるという規制方法です。しかしながら、例外として同意なしでもメール送信可能なケースもありますから、ガイドラインを確認して判断するのが良いでしょう。

特定商取引法

もう1つ広告宣伝メールの規制へ関連のある法律として挙げられるのが、取引の公正を保ち消費者の損害を防止する「特定商取引法」です。基本的には電子メール広告を行う通信販売業者などが規制対象ですが、広告宣伝メールの内容によっては部分的に特定電子メール法だけでなく特定商取引法も適用されることがあります。頭に入れておいてください。

特定電子メール法の規制が適用される対象

自分や他人の営業のため、広告や宣伝をする電子メールは全てこの法律の規制対象になると考えられます。SMSなど携帯電話やスマートフォン、タブレットから電話番号でメッセージをやり取りできるサービスや海外から日本に送信された広告宣伝メールも対象です。また、対象者はメールの送信者や送信委託者になります。

特定電子メール法で気をつけておきたい注意点

特定電子メール法に違反した場合には「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」法人の場合「行為者の罰則と法人に対して3,000万円以下の罰金」のような罰則があります。そのようなことにならないためにも、特定電子メール法において特に注意しておきたいポイントを何点かピックアップして簡単にお伝えしていきます。

同意記録保存義務

特定電子メール法では広告宣伝メールの送信をする際に得た受信者からの同意に対して、それを証明する記録の保存義務が課せられています。基本的にはそれぞれのメールアドレスについて、同意があった時期や方法など状況を示す記録の保存が必要です。

保存期間は、広告宣伝メールを最後に送信した日から1ヵ月、特定電子メール法に違反し措置命令を受けたときには、1年間となります。ただし、特定商取引法上の通信販売電子メール広告にあたる場合は、記録保存に加えて請求、承諾があったことを示す書面やデータの3年間保存が必要です。

広告宣伝メールの表示義務

広告宣伝メールには、受信拒否に関する記載など決められた内容を表示する義務があります。受信拒否については受信者からの受付方法によって表示義務に違いがありますが、ガイドラインに沿ってそれぞれに最適な記載の仕方をしてください。

それから、送信者の住所やクレーム、お問い合わせに対応できる連絡先の記載も忘れてはいけません。URL先での表示も認められていますが、その場合表示箇所への案内をメール内に記載する必要があります。

受信拒否

はじめは広告宣伝メールに同意していた方でも、途中から受信拒否されることがありますよね。その場合は、すみやかに送信を止めてください。受信拒否者への広告宣伝メールの送信は禁止されています。

なお、受信拒否の通知を受けたとしても、広告や宣伝目的以外のメールに付随的に広告宣伝がなされている場合などは、受信拒否された後でも送信可能なことがあります。

まとめ

広告・宣伝のメールを送信する場合には、原則特定電子メール法の規制対象になります。法律違反にならないよう、関連書類を参照し理解を深めましょう。広告宣伝活動を行う側としては、法律やガイドラインに沿って受信者の迷惑にならない形での広告宣伝メールを作成・送信することが大事です。

特定電子メール法について詳しい内容を知りたい方は総務省WEBサイトをご覧ください。ガイドラインやポイントについてまとめた書類を閲覧することができます。

総務省 電気通信消費者情報コーナー 迷惑メール対策

また、特定商取引法の詳細は、消費者庁WEBサイトの特定商取引法ガイドを参考にすると良いでしょう。広告宣伝メールの内容によっては特定商取引法が適用されるケースもありますので、あわせて確認が必要です。

消費者庁 特定商取引法ガイド

金融マーケナビメールマガジン登録はこちら! ※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。