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データ分析事例

福邦銀行様のローンのWeb受付スキーム採用から実現まで

2019年12月20日 3,906 Views

これまでは金融機関側もそれを利用するお客様も店舗に足を運んでローン申し込みの手続きをすることが一般的でした。しかしながら、スマートフォンや銀行アプリの普及により、わざわざ来店して手続きをする機会が年々減少しています。少子化やIT技術の発達により、今後この流れは強くなってくることでしょう。そういった中で非対面チャネルの強化を課題とされている金融機関は非常に多いのではないでしょうか?
今回は非対面チャネルであるローンのWeb受付スキームを採用した福邦銀行様が実現に至るまで、どのような活動をしたのかをご紹介します。

福邦銀行様とシナジーマーケティングの取り組み

福邦銀行様では、シナジーマーケティングの顧客管理を目的としたクラウド型データベースSynergy!を活用し、ローンのWeb受付スキームの中でもWeb完結型ローンを実現しました。それまでの活動について大きく6つのパートに分けてご紹介します。実際に福邦銀行様がどのような活動をしたのか、Web完結型ローン実現のために重要なポイントをまとめていますのでご覧ください。

1.全体設計

はじめに全体設計を行いました。単純に受け付けチャネルをWeb化するだけでは非対面チャネルを強化したとは言えません。Web完結型にすることで必要書類や保管すべき書類、審査のフローやお客様とのコミュニケーションポイントなど、業務全体がスムーズに、かつ的確に回るフローを同時に構築していく必要があります。
福邦銀行様との今回の取り組みでは、Web完結型のローンを実現するために必要な情報は何か?から始まり、各保証会社との調整、運用はどうあるべきかの検討から協議、顧客とのコミュニケーションの方向性はどうあるべきか?など、多岐にわたる課題の洗い出しを行いました。このような検討事項を抜け漏れなく設計することはもちろん、それぞれの業務をつなぎ合わせることも重要です。業務をつなぎ合わせることで、はじめてWeb完結型ローンを実現することができます。

【Web完結型ローンの全体設計で決めるポイントの例】

今回は、複数の地方銀行様の支援実績を持つシナジーマーケティングのノウハウを土台に、両社で現状の業務フローを洗い出しながら福邦銀行様専用の全体設計を行いました。また、複数の関係企業・部署が関わるプロジェクトのため、福邦銀行様とシナジーマーケティングとの間で綿密に連携をとり、お互いの役割分担を決めてプロジェクトを推進していきました。
<ポイント>
・現在の個人ローン受付から貸し出しまでのフローを洗い出し、Web完結型ローンへ移行する場合の最適な方法を決める
・銀行とパートナー企業との連携を強化しつつ、役割分担も事前にしておく

2.商品設計と特設サイトの構築

個人ローンを検討するお客様がまず目にするものが特設サイトです。コーポレートサイトとは異なる独立した特設サイトを作ることで、個人ローンに特化した情報を訴求することができ、離脱してしまうポイントを減らすことができます。特設サイトは申し込みへと行動を移してもらうために重要なポイントです。そのため、情報の並びや導線にも気をつけて設計を行いました。
今回特に注力したのは商品の設計です。今までは保証会社ごとに申込窓口があり、お客様は自分にあう商品を自ら選ばなければなりませんでした。商品選びに迷いお申し込みに至らないケースも多いため、利用目的ごとに商品を整理し選びやすくしました。商品を整理するにあたり、福邦銀行様は新しい商品開発も同時並行で行いました。企画立案から各保証会社と横断して共通した申し込み項目で審査を可能にするための調整をしました。
その結果、例えばカードローンは1つのカードローンという商品だけを選べるように特設サイトへの設計にも反映されました。

【商品選択画面の改善前と後】

<ポイント>
・個人ローンに集中して情報を得られる特設サイトを構築する
・Webサイトの導線や商品の見せ方を顧客視点で設計する

3.申し込み受付フォームの作成

受付フォームの入力のしやすさも重要なポイントです。特にローンの申し込みは登録が必要な項目が多いため面倒に感じられたり、全ての項目の入力をしたにも関わらずエラーが出てしまったりすることで申し込みを諦めて離脱してしまうお客様もいます。
シナジーマーケティングが持つ離脱率を軽減するための申し込みフォーム構築ロジックをもとに福邦銀行様用にカスタマイズを行いました。
<ポイント>
・EFO(入力最適化)対策をしたフォームを構築する。

4.諾否結果やリマインドの連絡

お客様への連絡手段として、今回はメールとSMSを活用することになりました。そこで運用を検討するにあたり注意したポイントを2点ご紹介します。
注意した1つ目のポイントは、お客様の手元に連絡が届いていることの確認です。審査後は必ず諾否結果を返さなければなりません。そのため、正しくお客様に連絡が届いているかを確認し、届いていなければ別の方法を試せるような運用設計にしました。
2つ目のポイントは、自動化です。手続きが止まってしまっているお客様へリマインドを行うことも重要です。しかし、このリマインドを毎日手動で送っていたのでは時間が足りません。そこでリマインド連絡は自動的に行えるようにしました。

<ポイント>
・お客様に連絡が届いているかを確認できるツールの選定する
・お客様への連絡自動化による業務負担の軽減

5.キャラクター開発

商品を人々に広く受け入れてもらうためのイメージ作りもローン商材では重要なポイントです。特に、Webだけでしかコミュニケーションが取れないWeb完結ローンでは更に重要度が増します。福邦銀行様では親しみやすく愛着を持ってもらえるキャラクターを作りました。キャラクターはWeb上だけでなくチラシなど他の販促物でも活用することで一貫した訴求がしやすく、コミュニケーション戦略を立てやすくなる利点もあります。
<ポイント>
・愛着を持ってもらえるキャラクターを制作する
・Webだけでなく全ての媒体でも一貫したコミュニケーション戦略を立てる

6.作って終わりにしない仕組み作り

今回の取り組みはWeb完結型ローンの体制を整え、無事公開することがゴールではありません。より多くのお客様にお申し込みをいただくためには小さな改善を行い、PDCAサイクルつまり、Webサイトやフォームのパフォーマンスを計測し、評価、改善を繰り返し続けることが重要です。福邦銀行様では根拠のある改善を進めるためにWeb上の行動をウォッチできるGoogle Analyticsや、受付フォームの改善に項目単位でパフォーマンスが計測できる株式会社ショーケースのフォームアシストを導入しました。
データベースや受付フォーム、メール・SMS配信などを実現するシナジーマーケティングのクラウド型データベースSynergy!はローンのWeb受付スキームの中核を担っています。そのSynergy!とGoogle Analyticsを掛け合わせることによって申込者数を増やすのではなく、承認率の良いお客様を増やすという観点での改善もできるようになりました。
<ポイント>
・フォームアシストにより、受付フォームでのつまずきポイントを知ることができる
・Google AnalyticsとSynergy!をつなぎ合わせることで承認率まで考えた改善が行える

Web完結の個人ローン受け付けプロジェクトを推進して

今回お伝えした6つのパートはWeb完結型ローン実現に向けた活動のほんの一部です。Webでの個人ローン受付を強化するにあたり、商品の再整備や業務フローの変更など外からは見えない部分でも試行錯誤がありました。福邦銀行のご担当者様からは、「時にわがままな要望も私達の立場で受け止めて、+αのイメージや機能をご提案いただきました。企画段階から最後の立ち上げまで“もっと良いものにしたい!”という姿勢と熱意でご対応いただけたので、知識・経験とも未熟な私が窓口でも、二人三脚でローン申し込みスキームを構築することができました。」とお声をいただいております。

今後の福邦銀行様の活動は?

Web完結型ローンはスタートしたばかりですが、個人ローンの申込者数が増えるなど少しずつ成果がでてきています。今後はプロモーションの強化を行い、Web完結型ローンを更に強化していく予定です。また申し込み後のお客様への連絡スピードを変えるなど、改善も検討中です。今後も計測結果をもとにPDCAを回し、共に改善を進めていきます。

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