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その他顧客管理

先行導入実績を解説|マネーロンダリングを防止するSynergy!を活用した口座の本人確認スキーム

2020年8月24日 2,488 Views

前回の記事(「マネーロンダリング防止に向けた注意点と対策方法」)ではマネーロンダリングの手口や日本での現状、金融機関における対策の必要性などをお伝えしました。その中でも特に注意しておきたい事柄として、「外国人名義口座の不正送金」が挙げられます。

昨今、マネーロンダリングによるテロ・詐欺グループや経済制裁対象国への資金支援行為といった「不正送金」に外国人名義の口座が利用されているケースが多数、見受けられます。増加する口座の不正転売を防ぐため、政府や金融庁による外国人名義口座の本人確認強化の動きは強まるばかりです。

このような現状を受け、今回は弊社サービスである「総合顧客管理システムSynergy!」の活用で、業務負荷を低減し効率良く口座の本人確認を行うことができる施策をご紹介します。この記事の情報が、自社の状況を振り返り改善するヒントになれば幸いです。

口座の本人確認における課題

在留外国人が母国に帰国する際、使わなくなった口座を不正に転売、その口座が不正送金の温床となっているケースが増加しています。A銀行様においても前述の規制強化の動きを受け、自行の口座を持つ外国人に対して特に本人確認強化を進めておられましたが、「本人に連絡がつかない」「本人確認書類取得は業務負荷が高い」といった課題を感じていらっしゃいました。

Synergy!を活用したソリューション

仮に本人に連絡がついたとしても、来店や郵送による本人確認書類の所得取得には時間も手間もかかります。そこでA銀行様にはフローの半自動化と業務負荷の低減が実現できる、Synergy!を活用したソリューションを採用いただきました。具体的にはお客様への連絡、管理、本人確認書類の取得など一連の流れが含まれます。

ここからはSynergy!を活用した口座の本人確認フローについて詳しくご説明します。

①通知

はじめに、対象のお客様に対してQRコードの埋め込まれたダイレクトメール(DM)を送ります。次にお客様がQRコードにアクセスすると、Webサイトのお知らせページに遷移します。言語選択や説明文の表示も可能です。

②情報取得

お知らせページでは該当のお客様に対して本人確認書類(運転免許証、在留カード、パスポートなど)のアップロードを促します。また、お客様の条件によってページに表示する項目は変えられますので本人確認書類の提出が必要な方のみにアプローチ可能です。

例えば「日本国籍・特別永住者・永住者・外国籍(特別永住者・永住者以外の方)」の4つの選択肢を用意した場合、「特別永住者・永住者・外国籍(特別永住者・永住者以外の方)」が選択された場合のみ書類のアップロード項目を表示します。このようにマネーロンダリング防止対策として外国人名義口座の本人確認をしたい場合に効果的です。

③審査

Synergy!のデータペースに本人確認書類の情報格納後、金融機関へ通知が行われます。通知を受けた金融機関がその内容を審査し、結果をデータベースに登録すると、お客様に対して審査結果が通知される仕組みです。

お客様が入力した内容に問題がなければこれで終了ですが、本人確認書類などに不備があった場合には、お客様に内容を通知し、このフローをはじめからやり直してもらうことになります。効率良く本人確認を行い、問題のあるお客様を発見することで口座の不正転売を防止できるというわけです。

Synergy!を活用した改善成果

A銀行様では従来、返信用封筒・申込書が入っているDMを対象のお客様に送り、記入済の申込書と身分証明書のコピーを返信用封筒に入れてご返送いただくという方法で口座の本人確認をおこなっていました。これは担当者が手入力でデータ化をしなくてはならない煩雑な状況です。

しかしながら、Synergy!をご利用いただくことで、データ入力の負荷を大幅に低減、通知~情報取得をほぼ自動で行うことができるようになりました。さらに格納されたデータは、CSV・エクセルデータで簡単にエクスポートできるので、勘定系システムに格納されているデータの更新が楽になるという効果もあります。

最終的にA銀行様でのSynergy!を活用したソリューション導入は成功と言える結果が出ました。本人確認書類の取得が以前よりも大幅に伸び、開始してから1ヵ月間で6,000~7,000件の申し込みがあったのです。今回獲得したメールアドレスを活用し、次回の本人確認をDMではなくメールでお知らせすることも可能になりました。

まとめ

ここまで本人確認強化のためのSynergy!を活用したソリューションについてご紹介しました。マネーロンダリングによるテロ・詐欺グループや経済制裁対象国への資金支援行為に対応するため、金融機関では独自調査や工夫などさまざま様々な施策が実行されています。外国人名義口座の不正転売が増加している今、より一層対策の必要性が高まっていますから、一度自社の状況を見直してみてください。

金融機関のポリシーによっては、「来店が必要」「求められる書類が複数ある」など、本ソリューションのみで対策ができるわけではありませんが、弊社は本人確認に至るまでの業務効率改善のお役に立てるのではと考えております。何か課題やお悩みをお持ちの場合は、お気軽にお問い合わせください。

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