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データ活用顧客管理

顧客情報を活用する3つのポイント【3.集めたデータにアプローチ】

2019年10月11日 2,344 Views

デジタルコミュニケーションを行うためのデータ活用の3つのポイントをお伝えするシリーズの第3回。前回はWebでの申し込みの導線を整備することで顧客の利便性を上げるとともに、デジタルデータをきっちりとデータベースに格納する手順についてご紹介しました。
最終回の今回は、集めたデータに対してデジタルな手段でアプローチしていく手法についてご案内します。

デジタルな手段でのコミュニケーションとは

デジタルなコミュニケーション手法を考えたとき、プライベートでLINEを利用されている方が圧倒的に多いのではないでしょうか。ほかに、TwitterやFacebook、Instagram(インスタグラム)などを利用されている方もいらっしゃるでしょう(「ソーシャルメディアの利用状況」総務省 平成30年度版 情報通信白書)。ビジネスに目を向けると、メールは幅広い世代に利用され、ビジネス世代の30代以上ではコミュニケーションツールの主流です(「コミュニケーション手段としてのインターネット利用時間、行為者率」総務省 平成30年版 情報通信白書)。
今回はこの、メールを活用したコミュニケーションについてお話しします。

Web上でのメールを用いたコミュニケーション例

メールを利用したコミュニケーションの例

メールを利用したコミュニケーションには、例えば以下のような使い方が考えられます。

  • 配信対象に対してメルマガを送る一斉配信
  • 申し込み登録日など特定の日付フラグに対して段階的なメールを送るシナリオメール
  • 何かの行動を起点としたリターゲティングメール

施策としてどう運用するかは目的次第ですが、実施そのものはメール配信システムの機能を使って比較的簡単に設定できるケースがほとんどです。その中でもおすすめは、「リターゲティングメール」です。

メールマーケティングで効果を上げるための手法

リターゲティングメールとは

Webページへのアクセスやメールの開封・クリックなどのユーザーの行動をきっかけとして、配信側の意図するタイミングで送るメールです。商品やサービスに対して能動的に動いたユーザーにめがけて、ジャストタイミングでアプローチできるのが、このメール手法の強みです。より見込み度の高いユーザーに向けて、効率的にアプローチができます。

リターゲティングメールとは

メールコミュニケーションで効果を上げる手法

具体的なリターゲティングメールのメリットについて説明する前に、メールでのコミュニケーションで効果を上げる要因について考えてみます。

  • 配信できる母数を増やす
  • メールに対する反応率を上げる
  • 相手に情報を伝えるタッチポイントを増やす

メールでまず取りかかりやすいのは、このあたりではないでしょうか。

配信母数を増やすためには会員申し込み受付の露出を増やす、反応率を上げるためにはメールの内容を精査するなどの方法が考えられます。
リターゲティングメールは最後の「タッチポイントを増やす」ことに有効な手法です。

リターゲティングメールのメリット

例えば以下のようなお客様がいるとします。

  • 過去に、あるセミナーに申し込んでいる
  • そのセミナーに関連のあるサービスページを閲覧している
  • サービスページから利用申し込みは行っていない

いかがでしょうか。上記のようなお客様が窓口に来られた際にニーズを検知することができれば、見込み度が高いと判断してすぐにでも商品説明をさせていただきたいのではないでしょうか。
リターゲティングメールは、上記のような条件をそのまま配信条件として、条件を満たした方に自動でメールを配信することができます。
このように、リターゲティングメールは、「ニーズに合わせたコミュニケーションメールがジャストタイミングで自動に送れる」というメリットがあります。
あらかじめニーズがありそうな顧客の行動を配信条件に設定することで、顧客の温度感に合わせたコミュニケーションをWeb上で行うことができます。ニーズを想定したタッチポイントを作ることができるのです。リターゲティングメールの最大のポイントは、一度配信条件を設定してしまえば、その後データ内で条件を満たした顧客に対してタイミングを逃さず「自動的」にメールが配信されるという点です。
例えば、まだ口座開設申し込みをしていない方が口座開設のページを閲覧している時など、顧客の特定の行動に対してアプローチしたいポイントはたくさんあるのではないでしょうか。

リターゲティングメールのコンテンツのヒント

アプローチしたいタッチポイントはあるけれど、「配信するコンテンツを何にすればよいかわからない」「ネタが続かない」などは、一歩踏み出せない担当者様からよくお聞きします。ですが、前項の例のように、Webページの閲覧状況とセミナーの申し込み状況がかけ合わさった場合など、タッチポイントの条件が明確になっていればお客様のニーズは具体化しています。関連するコンテンツや次のアクションを促すための要素なども分かるため、お客様に響くメッセージはイメージしやすいのではないでしょうか。

例えば、以下のようなイメージです。

タッチポイントの条件

  • 過去にセミナーに申し込んでいる
  • そのセミナーに関連のあるサービスページを閲覧している
  • サービスページから利用申し込みは行っていない

条件から考えられる顧客に響く内容

  • セミナー内容に関連した、顧客の興味を喚起・後押しをするような内容
  • セミナーに参加することでできること、わかることなどセミナーのメリットを具体的に伝える内容
  • 顧客の持っているである悩み(課題)に寄り添う内容

まとめ

3回にわたり、デジタルコミュニケーションを行う、マーケティング施策のためのデータ活用についてご紹介しました。

  1. お客様の情報をWeb上で取得する
  2. 取得したデータをデータベースに蓄積・管理する
  3. 集めたデータに対してデジタルな手段でアプローチする

セミナーのWeb申し込みを例にしてお話ししてきましたが、どんなWeb上の申し込みでも、導線を考えてデータベースに格納する方法という基本は同じです。
データを集めることができるようになると、データを集め、ためることで目的を達成した気分になってしまい、その後集めたデータを活用することがないというケースも多く見られます。
デジタルコミュニケーションは、データを蓄積することが目的なのではなく、集めたデータにアプローチして活用することから始まります。

まずはシンプルなところから、Webでの申し込みをはじめ、データを活用して非対面でのコミュニケーションを実現していきましょう。

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