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顧客管理

顧客情報を活用する3つのポイント【2.データの蓄積と管理】 ※弊社システム画面での解説つき

2019年10月11日 2,458 Views

若年層へのアプローチ強化などを目指して、デジタルコミュニケーションを行うためのデータ活用の3つのポイントをお伝えするシリーズの第2回。前回は金融機関が実施するセミナー受付においてデジタルデータで情報が取得できていない状況とその課題点の確認、そしてそれを改善することによるメリットについてご紹介しました。
今回はデジタルデータで申し込みを受け付けるための具体的な手順を、弊社顧客管理システム「Synergy!」の設定方法に沿ってご案内します。

Web上でデジタルデータを取得するための手順

「Synergy!」を利用してWeb上で申し込みを受け付けるための「申し込みフォーム 」を作成する方法はいたってシンプルです。次の2つの工程で作成します。

  1. データベース設計
  2. フォーム設定

まずはデータをためる受け皿を作り(データベース設計)、その後受け皿へ情報を流し込む入り口を作る(フォーム設定)という流れです。

Web上でデジタルデータを取得するための手順

早速この2つの手順に沿って、Webからの申し込みフォームを作成してみましょう。

1.データベース設計

まずデータをためておくための受け皿を作ります。
「データベース設計」というとなんだか専門知識が必要な印象を受けますが、心配ありません。
前回のセミナーの例では、「氏名」「会社名」「業種」「住所」「電話番号」「メールアドレス」「個別相談会希望の有無」などを申し込み時の必要情報としていました。

このように、まず必要な情報(項目)を考えます。項目を作る際のポイントは、データを集めた後にどのようなコミュニケーションを取っていきたいかをイメージすることです。

例えば、「〇〇エリアに住む、〇〇の業種で仕事をしている20歳~29歳までの方を対象に段階的に案内をお送りしたい」などです。この場合は前述の項目のほかに「生年月日」も必要になります。

また、施策を続けていくうちに「こういった情報も取得したい」「こういう対象者にアプローチしたい」と後から発想が湧いてくることも多いでしょう。データベースを設計・構築する段階で取得したい項目がきちんと決まっていることは理想ですが、そこにこだわりすぎることはありません。最初からすべて決まった状態でスタートできることの方が珍しいくらいです。まずはアプローチしたい対象を決め、スモールスタートでWebでの申し込みを開始することを優先することをおすすめします。

■Synergy!のデータベース管理画面
Synergy!のデータベース管理画面

項目の型を考える

ためておきたい情報の項目が決まれば、実際にデータベースに項目を設定していきます。
まずは項目の「型」を決めます。「型」とは?思われた方、ご安心ください。項目の「型」というのは、どんな形で情報を格納しておくかという項目ごとの決まりのようなものです。例えば「氏名」なら「文字型(テキスト型)」で文字を入力しますし、「都道府県」や「性別」なら「選択型」で選択肢を選びます。「生年月日」なら「日付型」や「数値型」で数字を入力する、といった具合です。
電話番号は「0」で始まるため、数値型ではなく文字型での作成をおすすめします。
「Synergy!」の場合、メールアドレスは配信に使える「メールアドレス型」という項目の型が用意されています。

■Synergy!の項目設定画面
Synergy!の項目設定画面

一通りの項目が設定できたら「1.データベース設計」は完了です。シンプルな項目設計であれば、慣れている人なら15~20分で設定できるでしょう。

2.フォーム設定

前項のデータベース設計で、データをためる受け皿を作成しました。次に、データベースに情報を流し込む入り口となる申し込みフォームを作成します。

■Synergy!のフォーム管理画面
Synergy!のフォーム管理画面

フォームに表示する項目を設定する
1.で設計したデータベース項目から、お客様に入力いただく項目をフォームに設定していきます。受け皿(格納先)に対して入り口(流入口)を作ることになるので、データベースに設定されていない項目をフォームの入力項目に設定することはできません。データベース項目にまだ設定されていない情報をフォームで入力いただきたいと思ったら、手順1のデータベース設定に戻って、まずはデータベースに項目を作成してからフォーム項目に反映させていきます。

■Synergy!のフォーム項目設定画面
Synergy!のフォーム項目設定画面

「Synergy!」ではフォームに反映させたい項目を設定すると、公開用の入力画面が自動的に生成されます。ローン申し込みなどの非常に入力項目が多いフォームの場合はこの限りではありませんが※、入力項目が10項目程度の申し込みフォームであれば、自動生成されるフォームをそのままご活用いただくことが可能です。
※ローン申し込みなどの非常に入力項目が多いフォームの場合は、EFO(入力フォーム最適化)の観点からフォームの見栄えや入力補助機能を整えるために、HTMLソースに手を加えて仕上げることをおすすめします。

蓄積したデータを管理・活用してできること

これで申し込みをWebで受け付ける準備が整いました。あとはセミナー内容の詳細を記したページに今回作成した申し込みフォームのリンクボタンを設置すれば、Web申し込みの導線のできあがりです。

■Webからの導線の例
Webからの導線の例(改善後)

紙の申込書の場合はセミナーが終わるとせっかくの情報を生かすことなく破棄されるケースが多いですが、この導線で受け付けをすれば、入力いただいた情報をその後のマーケティング施策で活用できる貴重なデータとして継続して管理していくことが可能になります。例えば、「〇〇エリアに住む、〇〇の業種で仕事をしている20歳~29歳までの方を対象に段階的に案内をお送りしたい」などの施策を行うことができ、その反応なども同時に記録しておくことができるようになります。

マーケティングに使用するデータは「履歴」をいかに残していくかが施策の成功を左右する肝になります。セミナー申し込みの情報とともに、当日の出欠情報やアンケート情報などを合わせて格納していくことをおすすめします。そういった情報の積み重ねが、今後も継続してセミナーに参加いただけそうな優良顧客かどうかなどを判断する、一つの要素となるからです。

氏名や住所、会社名や年齢などの基本情報 に履歴情報を蓄積し、管理していくこと。そうしたデータを活用することで、興味関心度合いが高い顧客に対してより有用な情報を提供し続けることができ、更なるサービス利用につなげていくことができるようになります。

次回は、「集めたデータに対してデジタルな手段でアプローチする」ための、データ活用とコミュニケーション手法についてご紹介します。

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