コラム:金融機関が保有する顧客データは”宝の山”(第5話)
第一話はこちらから
【第5話 顧客とのコミュニケーション環境をどのように実現する】
第5話では、顧客にお伝えするというところを焦点に全体像をお話しさせて頂きます。
いわゆる個々の顧客へ訴求したい内容をご案内し、顧客とどのようにキャッチボールしていけば良いのか。
いわゆるCRM(Customer Relationship Management)にあたる機能を考えてみたいと思います。
全体の流れをイメージするとこんな感じでしょうか。
顧客への訴求とコミュニケーション、ここがCRMのメインの役割になるわけですが、その前に大事なことが一つあります。
顧客に伝える手段(チャネル)の確保です。
顧客と連絡をとるための情報として、お住いの住所と固定電話番号は取得できていると思います。
しかしダイレクトメールや固定電話への連絡では、なかなか顧客と接することは難しく、ダイレクトメールを郵送しても不着で戻ってくるケースもあり、電話は繋がらない、といったことが多いのではないでしょうか。
現在、もっとも身近に繋がりやすい手段は、SMSやEメールではないでしょうか。
しかし、口座を保有する顧客の一体どの程度の割合で携帯電話番号やEメールアドレスを取得できているのでしょうか。
そこで一つのご提案です。
先ずは携帯電話番号を取得することから考えてみてはどうでしょうか。
直近に契約のある顧客であれば携帯電話番号も取得できていると思いますが、長くお付き合い頂いている顧客の携帯電話番号の取得率は低いのではないでしょうか。
多くの顧客はATMを利用しています。
ATMご利用時点で携帯電話番号を入力してもらえるような仕組みを作ってしまえばよいのです。
当然ATMや勘定系のシステムの改修が必要にはなると思いますが、人海戦術より、はるかに効率よく入手できるのではないでしょうか。
ATMをご利用する側の顧客にとっても、11桁の数字をポチポチするのであれば大きな負担にはならないでしょう。
ATMご利用の際に、ATMでどうアナウンスすれば、より多くの顧客に携帯電話番号を入力頂けるか、そこを考えれば良いのです。
携帯電話番号が取得できれば、後はSMSを利用していろいろなご案内をお届けすることができるようになります。
顧客毎の資金ニーズのご案内はもとより、郵便物不着の顧客には住所変更のご案内URLを、利用頻度の高い顧客にはインターネットバンキングへのご案内URLを、また自行のアプリのインストールご案内URLを、顧客にお伝えしたことは様々あると思います。
ただし、SMSは「文字量が140文字」などの様々な制約がありますことをご留意ください。
CRMの実現に向けての話に戻ります。
CRMというととても大掛かりな仕掛けを持つシステム基盤をイメージするのではないでしょうか。
言葉のとおり、顧客とのスムーズなリレーションを可能にするというところにフォーカスしてしまえば、それほど難しく考える必要はないのです。
CRMでは顧客とコミュニケーションするためのフロントのシステムとしての役割がメインです。
MCIFやDWHのように、全てのデータを保有する必要はありません。
顧客とのコミュニケーションのための基本的な情報に加え、携帯電話番号やEメールアドレスといったコミュニケーションチャネルの情報です。
LINEやアプリと連携している場合は、固有のID情報も必要です。
あとは各種資金ニーズや信用リスクの推測値と、プロモーション発動のためのルールに必要な情報の格納が必要です。
例えば、カードローン/フリーローンのニーズ確率が30%以上かつ信用リスク率が5%未満の顧客には、カードローン/フリーローンのプロモーション発動をONにするというイメージです。
資金ニーズ以外では、例えば住所変更届けをご案内したい先には住所変更届のプロモーション発動をONにするというイメージです。
顧客にご案内したい項目を用意しておき、ご案内するかしないかのフラグを立てられるような仕組みにしておけば良いわけです。
ご案内した顧客から申込などを受け、契約に向けたコミュニケーションが始まると思います。
顧客とやりとりした履歴データを残すことも重要な役割の一つです。
システム化の一番の問題は、資金ニーズの推測するためのモデルやプロモーションルールのプログラム化などを実装する仕組みをどこで構築しCRMに繋げていくかです。
このあたりの仕組みは各金融機関によってシステム環境が様々だと思います。
弊社のCRMシステム「Synergy!」は柔軟なデータベース設計が可能です。
EメールやSMS、Web広告などのマーケテイング・プロモーションにおいて、様々な金融機関様での支援実績があります。
様々なベンダーとの連携実績もございますので、各金融機関様向けに柔軟なご支援が可能です。
なお資金ニーズや信用リスクモデルなどの数学的モデルを必要としないプロモーションは数多くあると思います。
あまり難しく考えず、顧客とコミュニケーションするための機能として、できるところから実装していくという方法がベターかも知れません。
Synergy!では、金融機関向けCRM機能の強化を進めています。
ここまで全5話にかけてお話させて頂きましたが、金融機関が蓄積し保有する顧客データは”宝の山”です。
ただ、肝心の金融機関のみなさまがそのことに気づかれていないケースが多く見受けられます。
気付かれている場合でも「うちの金融機関ではそこまで高度なことができないから」と思われているケースもあるのではないかと思います。
「自社の場合、どうすれば宝の山を活用できるのか?」
「まずは何から始めれば良いのか?」
ぜひ一度下記よりご連絡いただけますと幸いです。
ご拝読、誠にありがとうございました。