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【金融機関向け情報共有】顧客に選ばれ続けるために必要な要素とは  著書『BANK4.0未来の銀行』レポートのご紹介

2020年12月23日 1,061 Views

シナジーマーケティング 金融ビジネス推進グループの杉本です。

2020年6月11日と2020年9月10日に「【金融機関様限定】顧客に選ばれ続けるために必要なデジタルマーケティング施策のご紹介」というタイトルでウェビナー (※オンライン上で開催するセミナー)を開催いたしました。

「顧客に選ばれ続けるために必要なデジタルマーケティング施策のご紹介」~ウェビナー開催レポート

上記セミナーの中で、金融サービスの世界的なインフルエンサーである、ブレッド・キングの著書【BANK4.0 未来の銀行 】で描かれている未来の金融機関の姿について、また今後金融機関にとって必要となる要素も踏まえてご紹介します。

※個人の見解も含まれておりますがご了承くださいませ。
※本記事でご興味持っていただける点がございましたら、オンラインでの相談窓口 を設けておりますので、カレンダーよりご都合の良い日時でお気軽にご予約ください。

【BANK4.0未来の銀行】をご紹介しようと思ったきっかけ

弊社では、CRM(関係性強化を目的とした顧客管理)を軸にソリューションや人的支援を行っております。お客様との関係性強化にはお客様の事を知るためのデータの蓄積が必要でお客様を知り未来顧客の創出が必要となります。

金融機関においてどのような未来が待ち受けており、未来向けてどのような対策が必要かという点また、CRMとも共通しますが、【顧客理解】が重要な軸である点について理解を目的にご紹介しました。
レビューにもありますが、金融機関の現状認識と今後の道標として是非、手に取っていただければ幸甚です。

【BANK4.0未来の銀行】特に読んで欲しい箇所

2017年からすでにBANK4.0時代に突入しています。BANK3.0ではスマートフォンの普及によりモバイル上での決済また、モバイル上に様々なサービスが陳列しているだけでした。

BANK4.0にシフトし、フィンテック企業の登場により様々な決済サービスが金融機関以外でも提供でき、リアル店舗ではなくデジタルが主軸となり様々なチャネルを通じ、お客様が心地よい体験をしながらサービス提供できる環境が必須となる時代が描かれています。詳細は、ご一読いただくとして、ピックアップすべきポイントを以下に記載します。

【PART1 第一原理への回帰】
◆アリババ物語

私たちが注力するのは『メイド・イン・インターネット』です。
企業のビジネスモデルは、消費者、サプライチェーン、ファイナンシングの方法をメイド・イン・インターネット時代に合わせて再定義することになります。
すべての小売業者、製造業者そして銀行は、急いでこれに取り組まなければならないということです。
ジャックがビジネスピープルに提示した10のメッセージ<※1部抜粋>
顧客にフォーカスすること。そうすればそれ以外は後からついてくる。
(ブレッド・キング,2019,p69)

【PART2 リアルタイム世界におけるバンキングの再構築】
◆バンキングはチャットボット化するか?

消費者の心理を十分探究して金融情報の必要性がどんなに重要かを銀行は理解しようとしない。
現在ほとんどの銀行では、データを集めたり整理したりして意味のある情報に仕立て、適切なお知らせとして出すことで消費者の役に立つことを可能にする仕組みを持っていない。
現在の銀行は、顧客のお気に入りの商品が何か、あるいは顧客が店の前を歩いていることについて知る術を全くもたない。
「データ」を「情報」に転化するためには、データを蓄積するだけではなく、それを有効に効率的に、そして正確に分析する能力が必要だ。
(ブレッド・キング,2019,p176-177)

◆商品よさようなら、経験よこんにちは

決済の未来は、経験が大きくなり、フリクションやモノ依存が小さくなることは不回避である。
オンラインとモバイルで経験をデザインすることが機能と実行の迅速性へとつながっていく。
商品(クレジットカード、貸越し、個人ローン、クレジットライン等)という構築物は消え失せて、カードは不要で、現金も不要だ。
テクノロジーの最終系は、コンテキスト適合型のバンキングサービスと機能である。
(ブレッド・キング,2019,p200)

BANK4.0の経験は、現在まで銀行がデザインしてきたオンボーディングや申し込みプロセス全体に攻撃を加えるものなのだ。
消滅可能性のある典型的な銀行商品(一部抜粋)
・貯蓄預金口座→行動型預金ツールと預金促進
・個人ローン→店内で、またはコンテキストに対応した決済オプションのアドバイス
・住宅ローン→住宅購買支援
・自動車ローン/リース→自動車運転利用申し込み
(ブレッド・キング,2019,p203)

【PART3 フィンテックで銀行が不要となる理由】
◆「私ならサーバ2台で済みますから」

フリクション(ユーザーが目的を達成することを阻害するサービス上の引っかかり)等、フィンテック企業は常に、日々の金融サービスへのアクセスの大部分を占める技術プラットフォームをベースにした経験を提供することで、市場に参入してきた。
デジタル・オンボーディング(新規顧客を対象とする登録手続き支援やサービス利用法説明)等、既存の銀行は、顧客はすでにできると知っている経験を模倣せざる得なくなった。
現在の金融サービスにまつわるフリクションを葬り去るのだ。フィンテック企業は積極的に実行している。
(ブレッド・キング,2019,p282)

◆銀行よりスマートな銀行口座

2020年までに検索の50%が音声検索になるとしている。
この動きに対し銀行の装備にチャネルを1つ加えると片付けてしまうのは間違いだ。
音声技術は、自分と自分のおカネに関する毎日のアドバイスの基盤になる可能性を秘めている。
音声は、クレジットカードの借金を全額返済する方法など問題を解決する存在としての銀行の有用性を際立たせる。
(ブレッド・キング,2019,p351)

◆バンキングにおける人間の役割の再定義

銀行の支店で得られるアドバイスは、どうすれば家を買えるかどのように投資すべきかに対するアドバイスはないのが実情どんな商品を用意しているまたは説明だった。
顧客の行動を理解し、新たな体験を生み出すことは未来の金融機関にとって最重要の創造的スキルになる。
(ブレッド・キング,2019,p364-366)

【PART4 生き残る銀行、そうでない銀行】
◆商品ではなく顧客経験

BANK4.0の世界で勝ち残る唯一の道は、商品のパラダイム全体を見直して、人々の生活に組込まれた銀行プラットフォームとしての使い勝手を提供することだ。
携帯電話で預金口座をプッシュで販売することではない。それは貯蓄を支援するシンプルな顧客経験だ。
(ブレッド・キング,2019,p484)

◆BANK4.0で描かれた未来とは

※2030年になると、Z世代顧客が銀行の支店に訪れ、口座開設することはほとんど
考えられない。(ブレッド・キング,2019,p.435)

※2025年には、最大の預金吸収企業はテクノロジー・プレイヤーとなる。
(ブレッド・キング,2019,p.468)

・2022年:1人当たり支店訪問の平均回数(世界)が年1回を下回る
・2025年:30億人の非銀行取引層がモバイルのみで包摂される
・2028年:先進国の銀行支店数がピーク時の50%を切る
・2030年:10数か国の経済がすでにキャッシュレス化
(ブレッド・キング,2019,p.498-499)

BANK4.0で勝ち残るために必要な要素とは

『第一原理』というキーワードが冒頭から何度も登場します。
アリババもSpaceXも社会通念という枠を外れ、ゼロから再構築することにより成功しています。1にプラスではなく、0を1にする発想が今まさに必要だと考えます。

0を1にするにはどうするか、各金融機関をご利用のお客様を改めて深く理解することだと考えます。
しかしながら、まだまだ顧客第一主義ではなく、売り手都合主義となっており重要な問題が問題として捉えられていないと感じます。
例えば、「他行と同じものを採用したい」「実績があるソリューションを採用したい」など、本書でもあるAIなどデジタルテクノロジーは1つの手段であり、問題そのものを解決できるものではない点が根本的な誤りではないでしょうか。
様々なデジタルソリューションは当然必要です、しかし他行という理由では手段が目的化することになり、その場限りの改善にしかなりません。

また、他行の良さだけで採用したとしても各金融機関の顧客は異なり導入前の問題点が不明確なままでは、デジタルソリューションを最大限に生かすことができません。
デジタルソリューションという戦術を最大限に活かす為には、自身の金融機関においてどう戦略を策定するか、つまり戦略を策定するには、顧客を真に理解することが軸になり【各金融機関においてお客様のインサイトも含め深く知る】ここを紐解くことが最も重要だと考えます。

各金融機関においてお客様のインサイトも含め深く知る

本書でも顧客の行動を理解し、新たな体験を生み出すことは、未来の金融機関にとって最重要な創造的スキルになると明記されており、また本書【顧客価値の貯蔵】【顧客経験・体験】【顧客中心主義】というキーワードが何度も登場します。

どんなお客様が優良顧客なのでしょうか?お客様はどんな価値を感じているのでしょうか?恐らく関係者全員が違う像を描いていると思います。
この進むべき方向性やシナリオが定まっていない中で、売り手主義の戦術(施策)を投じていないでしょうか。

お客様を真に理解し、共通のお客様像を物差しとして策定し、お客様がどんな点に困っているのか、商品を知る前に消費者の役に立つことを可能にする仕組みを戦略化していく、この点が隠れた重要な問題であり実行できていない点だと考えます。

今後ライバルとなるデジタルプレイヤーにおいては、金融機関にて保持している決済、融資、貯蓄・投資など利用した後の足跡データのみならず【お金にまつわる部分】以外の様々な嗜好性データを取得し、新しい価値をお客様に提供し続けています。
まず、必要なことは、【お客様のインサイトも含め深く知る】ために潜在・無関心層から顕在層、一度サービスを受けられた既接点層までお客様のデジタルで体験した情報を集め、物差しを作り追及していくことが重要と考えています。

このお客様を真に理解した情報を基に、【新金融系サービス】や【金融外のサービス】まで
広範囲に広げていくことが今後新しく生まれ変わる金融機関の姿ではないでしょうか。

行動・嗜好の本質を理解するための「顧客の遺伝子」Societas

弊社では、顧客の行動・嗜好の本質を理解するための手掛かりとなるように、数百万人の調査から導き出した価値観を判定した弊社独自のモデル「顧客の遺伝子Societas(ソシエタス) 」を展開しております。
上記ソリューションを活用することにより、顧客の購買要因や嗜好性を把握することができ、顧客の本質を理解する手助けとなります。

Societasのご紹介
Societasの判定には8つの設問を基に日本人の価値観を12分類することができます。
以下のURLにてお試し版をご用意しておりますのでご自身がどのような価値観なのかお気軽にお試しください。
Societasアンケート(お試し版)

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