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顧客管理

SMS(ショートメッセージサービス)をCRM施策に生かすポイント【愛媛銀行様の実例にもとづく】

2020年3月31日 2,417 Views

顧客へのコミュニケーション手段にはメールやSMS、LINEなどさまざまなものがあります。金融機関では他業界に比べて、特にSMSの利用率が高いです。

そこで今回のテーマは、「SMSを利用したコミュニケーションで気をつけるべきポイント」「SMSをCRM施策に効果的に生かす方法」としました。実際にSMSを利用して既存顧客に向けてCRM施策をおこなった、愛媛銀行様を例にわかりやすくお伝えします。

金融機関におけるSMS(ショートメッセージサービス)の重要性

前段で述べたとおり金融機関は他業界と比較してSMSの利用率が高いです。その理由として、「メールアドレスの情報がない人にも電話番号で配信できる」「ATMを利用して収集できる情報の中では、メールアドレスよりも集めやすい」といった点が主に挙げられます。

また、仮にメールアドレスを収集したとしても、顧客データを管理できるシステムを導入していない状態では、それらの情報を蓄積する手段がなかったとも考えられるでしょう。

このような理由から導入ハードルが低いSMSですが、文字数の制限や即時性など、他の媒体とは少し異なる特徴もあり、確認しておく必要があります。
(他媒体との比較はこちらの記事もご参照ください)
その違いを踏まえて、愛媛銀行様で実施した施策実例をもとに、金融機関における効果的なSMS配信のつくり方についてお話しします。

愛媛銀行様の施策概要

愛媛銀行様では、2018年夏にSMSでの配信を開始しました。SMSに適している内容としては「すぐに確認して欲しい、もしくは緊急性の高いお知らせ」などが挙げられますが、送り手である金融機関の都合だけで考えてはいけません。

CRM施策で使うのであれば、特定電子メールの送信等に関するガイドライン(総務省)に則り、送信したSMSから配信停止できるようにする導線も必要です。さらに、何通も送ることは顧客の心証を悪くするため、できるだけ情報を1通にまとめる必要もあります。

■愛媛銀行様のSMS施策フロー

SMSの制限とは

SMSには注意が必要な制限もあります。まず挙げられるのは文字数制限が厳しいことです。配信ツール経由で端末を問わずに送信したい場合には、最大70文字までしか入力できません。

また、弊社顧客管理システム「Synergy!」から効果をはかる手段として配信しているメールとは違い、開封実績が取れないことも覚えておきたいところです。

70文字という制限の中、受け手の信頼感を損なわずに、いかに端的に効果をはかる文章を組み立てられるかが鍵となります。

※SMS経由のフィッシング詐欺が増加しており、短縮URLではなく自社で保有するURLを利用したいという金融機関が増えてきています。
そのニーズにお応えすべく、弊社では最大700文字のメッセージを正しい順番で届けられるようSMS送信機能のアップデートを2020年4月に実施予定です。

SMS用の文章を作成するにあたり注意したこと

愛媛銀行様はSMS配信するにあたって、以下のような点に注意し、対策を施しました。

・文字数制限の壁
70文字以内で端的に情報を伝えるための文章構成のテンプレート作成と短縮URLの利用。

・配信の効果をはかる仕組みづくり
会員ページ(LP)を利用し、SMSの成果をはかる仕組みを構築。

・信頼感の担保
金融機関を騙った詐欺SMSが増えている背景を踏まえ、信頼性を強調。

次の項目から上記3点について、1つずつ詳しく解説していきます。

SMS文字数制限の壁

一口に文字数制限があると言ってもツールによって差がありますから、どの程度を目安に送信すれば良いのか迷ってしまいますよね。愛媛銀行様の場合、端末問わずに送信したい時にはもっとも少ないツールに合わせて70文字を上限としました。

【作成にあたり注意したこと】
・誰(金融機関)が・何を(サービスなのか、キャンペーンなのか、など)伝えたいのか
例)シナジー銀行からのご案内。入学金・授業料などにご利用いただける教育ローンです。

・URLは短縮URLを利用する
愛媛銀行様の場合、そのままのURLを利用すると40文字ですが、弊社顧客システム「Synergy!」の設定によって、URLを自動で短縮URLにすることが可能になります。結果、愛媛銀行様はURLを22文字へと削減できました。

・配信停止導線の確保
受け手の受信意思を確認するための配信停止導線が必要でしたが、本文中に入れるには文字数が厳しい状況でした。そのため、リンク先に配信停止の導線を設置することで対応しています。

・そのほか文字数を抑える工夫
URLをSMSテキスト上で問題なくURLとして認識させるためには、URLの前後に半角スペースを入れることが推奨されています。URLはできるだけ本文最後に入れ、1文字を節約しました。

また、さまざまな商品ごとに「これが特徴」「これは書く」という内容をテンプレートテキストとして登録することもおこなっています。これらを管理画面で編集できるようにすることで、都度開発作業を行わなくても済むようにしてます。

ただし、文章は一度作成したら終わりではありません。愛媛銀行様でも、運用当初に作成した文面を開始後ブラッシュアップしています。常に文章は改善していきましょう。

配信の効果をはかる仕組みづくり

SMSの成果はクリック実績で計測しています。まず前項で作成した本文中の短縮URLの遷移先を簡易ページ(LP)に設定します。次にLPの各クリックポイントに、どこ経由で来たのかわかるようになる印(パラメーター)を振っておき、Google Analyticsなどのアクセス解析ツールで計測します。そうすることによって、SMSからLPへの誘導の成果が目に見えるようになる仕組みです。テキストよりも視覚的な効果が狙えるというLPの利点にも注目しましょう。

信頼性の担保

受け手に疑問を抱かれないよう、信頼性を担保する取り組みもおこないました。

具体的には日本語の正確性はもちろん、誰が何を伝えたいのか、不要と思ったら配信停止ができることなどをわかりやすく伝えるようにしています。

また、前述の配信停止導線の確保については、受け手にとってわかりにくくするのではなく、すぐに辿り着けるようにすることが重要です。愛媛銀行様では、遷移先のLPに配信停止用ページへのリンクをわかりやすくボタン化して掲載することにより、受け手の立場で考えた導線にしています。

では、そもそもなぜこのような方法で信頼性を担保する必要があるのでしょうか。それは、

メールの場合、通常S/MIMEのような電子署名を付与することで信頼性を担保することができますが、SMSにおいては電子署名を付与することができないので文章自体で信頼性を担保することが重要となるからです。

まとめ

実際、愛媛銀行様ではSMS経由でのローン申し込み実績が十分に出ています。そして分析により、SMSがニーズのある顧客へのひと押しになっている傾向があるとわかりました。

その後も愛媛銀行様では、さらに効果を継続させるため、サービスが増えたら適宜テンプレートを追加するなど、更新も欠かさないようにしています。

これまでのお話で、SMSに改善を施すことにメリットがあることはご理解いただけたかと思います。しかしながら、セキュリティ面に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。その点は、愛媛銀行様とシナジーマーケティングの間をセキュアな回線(VPN)で繋ぐことで、通信の安全性を保つことを実現しているのでご安心ください。

金融機関から受け手へのコミュニケーション手段として多く利用されているSMS。直接受け手の手元に届くため、一般的に反応率も良いと言われています。ぜひ貴社でも活用してみませんか?

そうは言っても「SMSをCRM施策に利用するには、何をどうすれば良いのかわからない!」とお悩みの方には、弊社がご相談に乗り貴社に最適なSMSフローの構築などをご提案いたします。ぜひ一度お問い合わせください。

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